There's Something Fishy

映画研究、文芸批評、テニス評論

『メッセージ』(ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、2016年)

時間とは過去から未来へ向けて直線的に流れるものである。少なくとも、我々はそのような常識に縛られて生きている。だが、果たしてそれは真理だろうか。もしかしたら、人類の思い込みに過ぎないのではないか。 フラッシュバックと呼ばれるありふれた映画技法…

メルカリ大喜利ニュートリノ(返金保証付き)

近いうちに本格的なメルカリ論を書きたい。 【クレカ現金化】メルカリに遂にニュートリノ(あんしん保証つき)が出品される。 pic.twitter.com/5rEGn1hM0a — Honey (@hitoh21) 2017年4月30日

사랑하는 혜성 《너의 이름은.》

사람은 왜 영화를 보는가. 거기에 비추어지고있는 자신의 반쪽을 만날 때문이다. 그 반쪽은 때로는 사람 수밖에 모습을 취하고 우리 앞에 나타날 수있다. 영화 '그대 이름은. "(2016 년)가 분열하여 운석 화 혜성 핵의 주관 샷 (POV 샷)에서 개막하는 점을 …

井戸をめぐる冒険

headlines.yahoo.co.jp なつかしい夢を見た。わたしがまだ小学2年だった20年前の出来事だ。その日、わたしは深さ12mの井戸に落ち、ほとんど無傷で生還した。12mといえばビルの4階に相当する高さである。しかも、わたしの上からは重さ約70kgの石の蓋が降っ…

村上春樹『騎士団長殺し』

村上春樹の新刊『騎士団長殺し』について書きました。 ecrito.fever.jp

映画と認知心理学

3月6日(月)に神戸大で「映画と認知心理学」についての研究会があった。 プログラムは以下の通りである。いずれの発表もきわめて啓発的でおもしろく、自分自身の研究にとっても非常に示唆的な内容だった。 その際の私のコメントを再構成したので、自分のた…

『君の名は。』

遅まきながら映画『君の名は。』の解説とも謎解きともつかないレビューを書いたのでシェアしておきます。 「映画よりおもしろい」「もう一度映画を見たくなった/見た」という過分に好意的なリアクションをいくつもいただいて、書いてよかったなと心から思っ…

『オデッセイ』

(*下書きに変更して保存していた記事の再投稿です。) DVD&Blu-rayのレンタル解禁にあわせて映画『オデッセイ』(リドリー・スコット、2015年)のレビューを公開しました。 火星でジャガイモを栽培するSF映画を、ジャンル映画論的な観点から西部劇として…

映画と入浴

昨年12月に行われた日本映画学会のプロシーディングス(発表要旨集)が公開されました。 僕は是枝裕和の映画作品に頻出する「入浴」の意味について発表しました。 テマティックな読みと作家主義的なアプローチを組み合わせたテクスト分析です。 これだけ読ん…

夢日記

こんな夢を見た。 僕は友人の中国人男性と一緒にとあるオークションの会場にいた。場所は中国らしい。友人の目当てはスヌーピーがプリントされた限定Tシャツで、オークションは1,000ドルから始まり(中国なのになぜかドルだった)、あれよあれよと間に3,000…

『ブリッジ・オブ・スパイ』讃

冒頭、鏡に映る虚像として画面に導入されたソ連のスパイ(ということになっている男)は、続いて彼が描いている自画像に媒介された後で、初めて直接カメラの前に顔を晒すことになる。ここで強調されているのは彼を見つめる他者の視線の不在であり、じっさい…

ボウイが死んだ日

「でも、俺らが言うのも何だけどさ。ナンパしてついてくるような女って、正直どうよ?」 隣のテーブルでは先ほどから大学生風の男たち三人組が今日のナンパの戦果を報告し合っている。声をかけた女性のうち、何人からLINEのIDを聞き出し、そのうち何人からど…

『PASSION』(濱口竜介、2008年)

画面中央やや左に鎮座している巨大煙突から吹き出す白煙が画面左方向への艶かしい運動によって観客の視線を釘付けにしている間、スクリーン外からは男女の話し声が聞こえてくるのだが、どうやらここで彼らは「奇跡」について何ごとか語っているようで、ゆる…

『インサイド・ヘッド』レビュー

下馬評通り、大本命の『インサイド・ヘッド』が長編アニメ賞をとりました。 『インサイド・ヘッド』について書いた文章が先日公開されましたので、リンクを貼っておきます。 この作品を映画史のなかに位置づけようとする試みで、特に3節以降でその議論を展…

幽霊を蹴った話

ホテルの客室に入ったときから何となく嫌な気配は感じていた。室内の空気が冷たかった。もちろん、暖房が入っていなかったのだから、廊下よりも寒いのは当然だ。しかし、そういうものとは違った種類の寒さを、僕はそのとき確かに感じていたように思う。じっ…

霧の中のアイドル

映画評が『neoneo web』に掲載されました。 あえて大げさな言い方をすれば「映画評論大賞」の受賞第一作みたいな感じですかね。 webneo.org レヴューの対象はNMB48のドキュメンタリー映画『道頓堀よ、泣かせてくれ!』で、監督は『フタバから遠く離れて』(2…

「小津映画は遅いか?」

いったいどこに向けて書いているのやら、僕自身もよくわからなくなっているこのブログですが、おそらくここを覗いているみなさんが思っている以上にはアクセス数が伸びていて、せっかくなので宣伝や告知に使わせてもらおうと思います。 これは僕の所属する研…

全豪オープン開幕に向けてーーあるいは映画学入門書の効用について

「芸術のスペクトルに含まれておかしくないもののひとつにスポーツがある。ほとんどのスポーツ競技が"主役と敵役"の基本的なドラマの構造をとっていて、そのため劇的な観点から眺めることができる。"筋書き(プロット)"があらかじめ定まっていないために、…

映画評論大賞2015

拙論「國民的アイドルの創生―—AKB48にみるファシスト美学の今日的あらわれ」が雑誌『neoneo』の主催する「映画評論大賞2015」の受賞作に選ばれました。 webneo.org 論考の内容は、スーザン・ソンタグによるレニ・リーフェンシュタール批判の枠組みを援用した…

舞城王太郎『淵の王』

既存の文学的枠組みの拡張に成功した小説を純文学と呼ぶならば、舞城王太郎の『淵の王』こそ、その名にふさわしい。 ネット上のいくつかのレヴューで既に指摘されているように、本作品の三人の主人公を見守っている語り手の「守護霊」たちは、どうやらそれぞ…

「アベセデール」雑感ーーあるいは人生に伏線を張ること

世間の流行に乗って(というか既に出遅れている感がありますが)、ドゥルーズの「アベセデール」を少しずつ見進めています。 まだ半分も見ていないのですが、どのトピックも非常に充実していて、内容をきちんと咀嚼していこうと思ったら、どうしてもスローペ…

塩基配列が文学になるとき――イアン・マキューアン『土曜日』論

塩基配列が文学になるとき――イアン・マキューアン『土曜日』論 『アンナ・カレーニナ』と『ボヴァリー夫人』という定評ある名作を読み通したこともある。・・・それで結局、何が分かっただろう?・・・神が細部に宿るとすれば、その細部にペロウンは感銘を受…

「第6回「音響」という視座」テニス批評宣言ーー音響面から考える錦織圭の強さの秘密

テニス批評宣言ーー音響面から考える錦織圭の強さの秘密 目下世界ランキング四位を自らの定位置に決めたらしい錦織圭のコート別の勝率を確認してみると、興味深いデータが得られる。アウトドア(室外)で行われた試合での通算成績が187勝99敗で勝率65.4%で…

人が映画タイトルを誤るとき

人が映画タイトルを誤るとき 世界映画史上、小津安二郎ほどその監督作品のタイトルを間違えられた映画作家は他に存在しないでしょう。たとえば、2013年10月に小津の生誕110年/没後50年を記念して刊行された『ユリイカ』の臨時増刊号[1]では、映画タイトルの…